腫瘍科・その他(良性のもの)
- HOME
- 腫瘍科・その他(良性のもの)
腫瘍・ガンの検査について
腫瘍の検査には、転移の有無、腫瘍確定後の手術法の確認も含め、CT/MRI検査が非常に有用。しかし、ペットのCT/MRI検査は、人間と違い、全身麻酔が必要。下記に紹介する超音波(エコー)検査は、無麻酔で非侵襲的に検査が可能なため、部位によっては早期に負担をかけず腫瘍の発見が可能(ただし、脳・神経系の腫瘍は、CT/MRI検査が主体となる)。どのように検査を進めていくかは、主治医との十分な話し合いが必要になる。
皮膚がん
● 検査
視診、触診、細胞診、生検、超音波、ターモスコピー
● 疾患
癌腫、肉腫、良性腫瘤
必要に応じ、アジア皮膚科専門とエビデンスのある治療を実施します。詳しくは、新しい皮膚科のページを参照。
血液のがん
● 検査
血液塗抹、体表リンパ節の腫脹
● 疾患
白血病
頭部
● 検査
CT、MRI、超音波
● 疾患
水頭症、腫瘍、癲癇
神経症状(発作、けいれん)や歩行障害がでる。癲癇や水頭症との鑑別のために、CTやMRIで検査する。
脊髄・脊椎
● 検査
CT、MRI、レントゲン、遺伝子検査(一部の犬種)、(超音波)
● 疾患
ヘルニア、環軸亜脱臼、腫瘍、嚢胞、DM炎症性疾患など
神経腫瘍の石灰化(青)と、脊柱管内への浸潤(赤)
脊髄くも膜のう胞(良性の嚢胞)
MRI検査および手術は、2次病院へ紹介して実施。エコー検査は当院で実施。
変性性脊髄症
本症例は、腫瘍性疾患ではないですが、症状からは腫瘍の可能性も否定できない。動画のような神経症状ある場合、確実な診断にはCT/MRI検査が必須。
前項目の脳に加え、頭部(鼻腔内)、神経系の疾患は、高度な検査ができない町医者レベルでは誤診をすることが私も含め非常に多いです。CT/MRIを併設する高度医療機関、検査センターへ、直ちに紹介してもらうことをお勧めいたします。当院では、以下の施設を紹介しています。
眼および眼の周辺部
● 検査
視診、スリット、超音波
● 疾患
マイボーム腺腫、悪性腫瘍
虹彩メラノーマ(猫、目の中の腫瘍)
眼の分泌線(マイボーム腺、ツアイス腺)が炎症をおこしたものを麦粒腫(ものもらい)、塞がったものを霰粒腫、腫瘍化したものを腺腫といいます。犬のマイボーム線腫は良性のものがほとんどです。猫の場合は、目の周辺のできものには悪性のものが多いので、気が付いたらすぐに病院へ行きましょう!最後からの5番目の写真は、歯の根元の膿が原因の目の下(眼窩下)の腫れです。目の病気ではありません。
口腔(口唇、舌 等)
● 検査
視診、内視鏡
● 疾患
悪性腫瘍
ヒトでは皮膚に見られるメラノーマだが、犬は皮膚ではなく、口唇、口腔での発生をしばしば診る。再発性が高い。
耳(耳介、耳道)
● 検査
視診、耳鏡、CT
● 疾患
耳垢腺腫、耳垢腺がん、耳垢腺嚢腫
耳垢腺腫(猫、耳の中の腫瘍)
耳科の腫瘍は、耳の中(耳道内)にできる耳垢腺腫、耳垢腺がん(悪性)と、耳介部から耳道にかけて発生する非腫陽性の耳垢腺嚢腫などがある。耳道内にできた腫瘍の切除は、外側耳道切除(切開)術と、全耳道切除術があり、CT検査が必要なケースがある。
心臓
犬(脾臓の肉腫の転移)
犬(肝臓がんの転移)
上記症例の3D/4D動画
心臓の腫瘍は、肝臓や脾臓のガンの転移のことが多い。
胸・肺
● 検査
CT、超音波、レントゲン
● 疾患
がん、胸水、肺水腫
リンパ腫(猫、縦隔型)。胸腔のリンパ節の腫瘍。
肺の腫瘍(犬、横から心臓を圧迫)
頸部 (唾液腺)
● 検査
超音波、触診
● 疾患
ガマ腫、腺がん
ガマ腫(犬、経過観察)
唾液腺(耳下腺、舌下腺、下顎腺)からの分泌物が周囲溜まって、腫瘍のように腫れる状態。大きくなった場合は、内容を吸引するなどして対処。神経や血管が豊富な場所なので手術はしない。
甲状腺
● 検査
超音波、血液検査
● 疾患
腫瘍、腫瘤
甲状腺腫瘍(犬、リンパ腫の転移)
副甲状腺(上皮小体)
● 検査
超音波、血液検査
● 疾患
腫瘍、腫瘤
副甲状腺腫瘍(猫、当院で摘出手術)
胃
● 検査
内視鏡、超音波、バリウム
● 疾患
異物、腫瘍、リンパ腫
胃内腫瘤(猫)
内視鏡検査が必須ですが、麻酔下での検査の為、ハードルが高い。
腸
● 検査
超音波、内視鏡
● 疾患
腫瘍、慢性腸症
消化器系の腫瘍(犬)
肝臓
● 検査
超音波、血液検査
● 疾患
腫瘍、ガン、腫瘤
犬猫の肝臓疾患
超音波検査で肝臓に異常が認められた場合、CTやバイオプシー検査が次のステップになりますが、麻酔下での検査になるため、そこまでは希望されない方が多いです。なので●●ガンとか、●●腫瘍とか、詳しい病名がつかないケースが大半です。ぜひ死後検体をお願いいたします。
腫瘍の肝臓への転移
犬の脾臓の血管肉腫の肝臓への転移巣です。
胆嚢
● 検査
超音波
● 疾患
胆泥症・胆石、胆嚢粘液嚢腫、胆嚢炎
犬(胆嚢ポリープ)
胆石(犬)
胆石(犬)
粘液のう腫(犬、当院で手術により摘出)
粘液のう腫(上記の3D動画)
免疫介在性溶血性貧血に伴う胆のう浮腫(犬、完治しました)
胆のう疾患は、胆泥症、胆泥症からの粘液のう腫および胆のう破裂、胆石の順に多いです。成書には、胆のうがんの記載がありますが、私は経験はありません。胆のう疾患は、他院からの転院症例のうち、最も多い疾患です。その多くが、粘液のう腫からの胆嚢破裂を、膵炎と誤診しているケースです。破裂による炎症が膵臓にも波及するので、誤診されます。
膵臓
● 検査
マーカー、超音波
● 疾患
膵臓ガン、膵炎
膵臓の疾患は、確定診断が困難で、血液検査、レントゲン、超音波など様々な角度からの検査が重要。私を含め、誤診が多い分野。
脾臓
● 検査
超音波
● 疾患
がん、脾腫
間質肉腫(犬、紹介先の病院で摘出手術)
肥満細胞腫(猫、当院で摘出手術)
骨髄脂肪腫(犬、良性)
脾臓の疾患は、レントゲン検査や血液検査では診断できず、超音波(エコー)検査が基本になります。
腎臓
● 検査
超音波、血液検査
● 疾患
慢性腎障害、結石、のう胞
腎臓腫瘍(犬、脂肪肉腫、膀胱炎疑いで・・・)
腎細胞がん(犬、CT、エコー)
ガンが原因で、腎臓に大きなのう胞が形成されています(紹介病院にて摘出手術)。
T型リンパ腫(犬)
ウイルス性白血病の腎臓(猫、皮質と髄質が不明瞭)
副腎
● 検査
超音波、血液検査、刺激試験
● 疾患
クッシング、腫瘍
副腎腫大(フェレット、当院で投薬での治療)
副腎腫瘍(犬)
犬の副腎の疾患は、副腎腫大によるクッシング症候群が大半を占める。症状は、多飲多尿、腹囲膨満、脱毛、皮膚の菲薄化(血管が浮き出る)など(下の写真参照)
膀胱
● 検査
超音波、レントゲン
● 疾患
膀胱炎、結石、腫瘍
膀胱腫瘍(犬、当院で摘出手術)
膀胱腫瘍(犬、当院で内科的に治療)
膀胱の腫瘍は、超音波(エコー)検査が非常に有用です。血尿、頻尿の場合は、多くは膀胱炎ですが、確認のため超音波検査を実施しましょう。
3mmの膀胱粘膜の増殖(犬、投薬治療)
エコーの精度が上がり、非常に小さな状態での発見が可能です。
前立腺(未去勢♂)
● 検査
超音波、触診
● 疾患
前立腺肥大、がん
前立腺腫大(犬、去勢手術により縮小)
去勢をしていない犬で、前立腺腫大はしばしば遭遇します。前立腺は、膀胱からペニスに向かう尿道の周囲にあります。腫大(肥大)した前立腺は、尿道を外側から圧迫しての排尿障害を引き起こします。また、直腸を下から圧迫して排便障害を引き起こすこともあります。多くが去勢手術により数週間で縮小します。
卵巣(未避妊)
● 検査
超音波
● 疾患
腫瘍、嚢腫
卵胞のう腫(犬、良性、当院で摘出手術)
子宮(未避妊)
● 検査
超音波
● 疾患
子宮蓄膿症・水腫、ガン、ポリープ
子宮がん(ハムスター、初期ならば手術)
子宮がん(ウサギ、頸部のガンが多い、早期ならば当院で手術)
膣腫瘤(犬、当院で手術可能)
子宮蓄膿症(犬、当院で手術)
犬猫は子宮のガンよりも蓄膿症が多い。動画は、子宮内の膿の流れです。
乳腺(未避妊で悪化)
● 検査
触診、視診、超音波
● 疾患
悪性・良性乳腺腫、炎症性乳がん
乳腺腺がん(猫)
乳腺組織(乳頭周辺の)皮膚の下に1~5mm程度で触診可能
乳腺腫(犬)。
3mm程度。慣れると触診でもわかります。避妊していない犬は、定期的なチェックをしましょう。イメージ的には、皮膚の下に、米粒があるような感じです。
乳腺腺がん(犬)
石灰化の激しいものは、レントゲンでもうつります。
精巣(未去勢)
● 検査
触診、視診
● 疾患
悪性・良性腫瘍、停留精巣の腹腔内腫瘍(腹腔の項目参照)
① 陰のう内での腫瘍化
意外と飼主は気が付きません。犬の場合、ほとんど前立腺腫大を伴います。
② 皮下での腫瘍化
停留精巣の腫瘍化(犬、左鼠径部の精巣の腫瘍化)
右の精巣は、正常(陰嚢内に存在)。鼠径部にある精巣(写真赤矢印)が、腫瘍化。
③ 腹腔内での腫瘍化
停留精巣の腫瘍化(犬、腹腔内の精巣の腫瘍化)
写真は、正常な精巣(左)と、腹腔内で腫瘍化した精巣(右)。停留精巣(陰睾)は、高齢期に腫瘍化する可能性が非常に高い。早めに、摘出すべきだと思います。
腹腔内
● 検査
超音波、レントゲン
● 疾患
腫瘍(血管肉腫、精巣腫瘍等)
停留精巣の腫瘍(犬、当院で摘出手術)
リンパ節腫大(猫、リンパ腫に随伴)
直腸
● 検査
触診、視診
● 疾患
直腸癌、炎症性ポリープ
肛門周囲(未去勢で悪化)
● 検査
視診
● 疾患
肛門周囲腺腫、肛門周囲腺ガン
去勢手術をしていない犬では、悪性度の高い肛門周囲腺ガンの発生が高い印象がある。
リンパ節
● 検査
触診、視診、細胞診、超音波
● 疾患
リンパ腫、ガンの転移
頚部リンパ節(犬、多中心性リンパ腫)
上記の写真のエコー像です。多中心性リンパ腫は、制癌剤での延命効果が証明されている犬の腫瘍のひとつです。)
膝窩リンパ節(犬、慢性リンパ球性白血病)